金曜日, 03.09.2010 08:15
 
 

地域

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メディア

東京をさかのぼって読む

ベルリンの作家カトリン・レグラは、ゲーテ・インスティトゥートの招待で東京に7週間滞在し、その印象を「東京逆読み日記」にまとめた。

文 カティア・ヴィンクラー

パニックに襲われたお陰で本書が誕生した。ベルリンの作家カトリン・レグラ(38)は、ゲーテ・インスティトゥートの招待で東京に7週間滞在した。彼女は、この経験をぜひとも本に書きたいと思ったが、どのように書くか決めかねていた。そんな東京滞在中、もしかしたらカルチャーショックの結果だったのかもしれないが、正真正銘のパニック状態に陥った。「六本木の広い住居で突然、幽霊を見た」というのだ。この出来事で、東京滞在の時間を逆にたどる作品を書くことを思いついた。このほどドイツで刊行された型破りな作品「tokio, rückwärtstagebuch(東京逆読み日記)」に、彼女は「私が安心して向かえるベルリンの机に自分を戻す旅を、時をさかのぼる形でやってみたい」と記している。

著書は、コミックシリーズ「Tigerboy(タイガーボーイ)」で知られる、ベルリンの漫画家オリバー・グライェフスキとの共著として出版された。レグラは日本滞在中の出来事を日記風に描写している。――ただし、終わりから始まりに向かって書き進んでいるのだ。それはドイツに帰国する空の旅で始まり、東京に到着して終わる。ここには、文化的な特殊性、未知のものの魅力、個人的な出会い、そして見知らぬ国についての主観的印象が記されている。グライェフスキの担当個所を読みたければ、日本流に右開きにページを繰っていかなければならない。グライェフスキは、さながら日本に住む人々の鏡像のような伝統家屋や現代的建造物が立ち並ぶ都市空間を分析する。日出ずる国での自らの経験を、彼は古典的ルポルタージュから漫画に至るまでの手法を用いて、すべてをモノクロで描いている。こうして、本書の真ん中で2人のアーティストの作品がぶつかる。まさに「カルチャークラッシュ」だ。しかしふたつの異なる見方は、驚くべきことに、ひとつの物語に凝縮する。

カトリン・レグラは現代ドイツ文学を代表する作家のひとりで、多くの文学賞を受賞している。彼女はメディアの現実と、人々がいかにしっかりその中に絡み取られているかをテーマのひとつとしている。オーストリア出身のレグラは90年代初めにザルツブルクからベルリンに移り、ドイツ学とジャーナリズムの研究を続けた。この時期に初期の著作を出版し、短編小説を発表。その後、ラジオドラマと戯曲を執筆してきた。東京からベルリンに帰ったレグラは、典型的な教養紀行小説を書こうとはしなかった。そのような作品は適切ではないと思えたからである。「旅は構造を解体し、物事に疑問を投げかけ、ときに気持ちを混乱させる。なぜなら、ひとは異国では孤軍奮闘を強いられるから」と彼女は言う。子どものころに見た日本映画「逆噴射家族」のことも思い出した。その結果が、心をかき乱すような魅力あふれる「東京逆読み日記」である。

08.12.2009
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